建物概要 木造
用 途 住宅(夫婦+子供1人)
敷地面積 287.00m2 (86.64T)
延床面積 138.10m2 (41.69T)
建築面積 100.06m2 (30.20T)
建築場所 栃木県小山市
敷地は、栃木県小山市の近年インフラ整備が進んだ区画整理地内にある。碁盤の目のように、規則正しく道路がつくられ、これから成長していく地域というのが最初の印象であった。この土地に、夫婦と子供1人で住むための住宅の計画である。
クライアントさんの大きな要望として、車を3台駐車できること、エントランスからリビングを通らずに脱衣室に行ける事。洗濯が終わったらすぐに収納できるように、家族全員分のクローゼットを1箇所にまとめることであった。
要望をてがかりに、まずは敷地に車3台分のスペースを確保すると、建物を建築できるスペースがほぼ正方形となった。敷地軸に対してできた正方形に、方位軸に合わせた長方形を重ねてくりぬき、道路に対して角度を振った中庭を設け、プライバシー性を確保するコートハウスとした。コートハウスにすると、街に対して壁を設けたように閉ざしきった印象となるため、南側の通路をガラス貼りとし、このガラスに、フィルムで濃淡のグラデーションを与えた。こうすることで、プライベート空間ーパブリック空間という、反対にあるものの境界をぼかして滑らかに繋がっていくようにし、街との均衝を図った。また、夜になれば、リビングからの明かりが行灯のようにガラスを灯し、人の気配が街にこぼれていく。
シンプルな形状をそのまま外観に活すために、外装をアスファルトシングルとし、屋根と外壁を1体的に形成し、よりシンプルな表現とした。また、この方位軸に合わせてくりぬいた壁を木貼りとし、中庭をつくることで、家に求心性を生み、家のどこにいても、この方位軸の中庭が印象的になるようにした。これにより、この家に参加しているという意識を無意識につくり、最小単位級の家族の寂しさを和らげるべく、いつでも家族と繋がっているという安心感をえられる家にした。
「エントランスからリビングを通らずに脱衣室に行ける事」という要望について、もう少し掘り下げて伺ってみると、ご主人の仕事がら埃っぽい訳ではないが、作業着が汚れるという事で、気分的にリビングを通らない動線としたいとのことであった。そのため、エントランスから二股にのびる通路を設け、家族全員分のクローゼットを通り、脱衣室に行ける動線とする事を提案した。これにより、無駄な動線を減らし、ご主人だけではなく、家族全員がクローゼットで着替えを終えたら、そのまま外出できるような利便性を追加した。
核家族が増加している現代において、プライバシーを確保しながらも、つながりを感じ、パブリックへの参加を意識する事は、これから成長していく地域と人と人の繋がりを重ね、豊かな生活のきっかけになると考えている。
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